何をしているんですか石丸さん

東武東上線(東松山駅にて)

 

東上線の風景

もう10年近く前になるかと思いますが、私が埼玉の実家に帰省した際、東武東上線に乗っていて高坂駅のあたりでぼんやり天井を見上げると、司法研修所の同じクラスで見慣れた顔の弁護士が広告に出ているのを見てびっくりしたことがありました。

その人こそ、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで日本全国に展開している弁護士法人アディーレ法律事務所の代表を務める石丸幸人弁護士だったのですが、すげえな石丸さん、これからはこんな広告を弁護士も出す時代になったのか、と思った記憶があります。

 

二つの複雑な思い

さて、それから随分経ちましたが、先日、同事務所のウェブサイト上の広告を巡って消費者庁から景品表示法違反による措置命令を受けた、というニュースが流れました。

これに対しては同業者の内外を問わず一様に厳しい反応が聞かれるところですが、私としては非常に複雑な思いで見ています。

複雑な思い、というのは二つあります。

一つは、おまえ友達いないんだな、と同期に揶揄されたことがある程度には人付き合いが得意ではない私であっても、司法修習のころ割と仲良くして頂いていたので、こんなことになってとても残念だということです。

もう一つは、本来、問題のある広告手法は弁護士団体内部の広告規制により取り締まるべきことであるにもかかわらず、結果的には放置されたまま遂に消費者庁に指摘されるに至ったことで、弁護士自治に穴が開いてしまったことです。

所属会の東京弁護士会には消費者庁が動く前にどうにかしてもらいたかったですし、不適切な広告の排除に真剣に取り組むべく再発防止策を採る必要があるでしょう。ただ、万が一にも本件について重い処分がなされるようなことになれば、会内で奉加帳を回しても事件数が膨大で受け皿が揃わない懸念はありますが、二の足を踏んでいる場合でもないと思います。

 

いずれにしても、私にとっては衝撃的な出来事です。本当に残念でなりません。

 

今後に向けて

別の視点から考えてみます。

アディーレの業務活動に関しては、顧客からの評価は別としても同業者からは芳しくない評価を聞くことがあります。それはやっかみもあるでしょうが、必ずしもそうとは言い切れません。

実際に、私も相手方として当たったことがありますが、色々思うところはありました。

しかし、石丸さんは、弁護士としては別としても経営者としての才覚は間違いなく群を抜いています。そういう人はこれまでこの業界にほとんどいなかったと思うのです。

人材が集まって来たのもその人柄によるところもあるでしょうし、優れた部下に仕事を任せるのに躊躇しない鷹揚さがありますし、業務の組織化と効率化にもそれはもう並々ならぬ情熱を燃やしていました。私にはそうした能力も意欲も足りません。従前の弁護士は手が届かなかった、というか怠っていた部分を創意工夫してやっていた面は否定し難く、やはり、そのような意味では画期的で凄いとしか言い様がないです。

ただ、それだけに、広告手法や事件処理のチェック体制を整えて業務の質を保てなかったのかと悔やまれてなりません。あれだけの組織的なリソースがあれば、それは十分為し得たことなのではないかとも思います。

そういった次第で、今後、顧客を煽る広告は控えて真っ当な業務を遂行して頂くことを、私としてはなお望んではいます。

 

私の課題

むしろ、私としては、石丸さんの事務所のあり方を見て、これは同じことをやっていてはダメだとてもこの先生きのこれない、という大変な危機感を昨今感じるに至っていました。

ですから、同じ方向に進まずにどうやって弁護士としてやって行くべきか真剣に考える契機となっていた面もありました。

もっとも、そんな私自身は未だに迷走気味なところもあります。

そのうち、帯広にもアディーレが支店を出すことがあるかもしれませんが、私としては、地元の限られた営業領域であっても、地道な努力を重ねて競争する体制を整えておきたいと思っています。