行政活動とのかかわり(4)貸金業関係連絡会

平成18年に貸金業法の改正がなされ、それに前後した時期からだったと思いますが、年に一度帯広の財務事務所に呼ばれることがあり、そこで貸金業関係の話題について懇談する会議が開かれています。

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その趣旨としては、おそらく、改正貸金業法の施行とそれに伴う影響について、財務局サイドで実態を把握するということがあるのだと思います。

 

貸金業を取り巻く環境の激変

統計資料をもらっていますので、どれだけ影響があったか簡単な指標の例を示します。

貸金業者の数1
平成17年3月 18005社
平成27年3月  2011社

貸金業者から5件以上借入残を有する人数2
平成22年4月 115万人
平成27年3月  14万人

ほかの指標も考慮すべきかもしれませんが、これだけでも、もう激変といっていいのではないかと思います。

しかし、法改正に至った経緯については、多少世間から忘れられていそうな感じもしています。

そうはいっても、私も(弁護士になった)平成15年より以前のことは知らないことも多いので、この件に触れるのも僭越ではあるのですが、知っている限りで昔のことでも記しておきたいと思います。

 

ヤミ金について

昔の貸金業者の利率は年利40パーセントを超えるのが普通で本当にひどかったんですが、過払金の請求がそれほど一般的ではない時代もありましたし3、また、ヤミ金も野放しみたいなところがあったような気がします。嫌がらせで勝手に寿司とかピザとか送りつけられてきたということも良く聞きました。

なお、ヤミ金への対応時にピザが送りつけられそうな臭いを察知した私は、近隣の宅配ピザ屋さんに「うちではピザ注文しないぞ。うちの名前で注文来たらヤミ金だからな。」と注意していたのですが、うまく伝わらなかったのかピザを持ってこられてしまったことが1回だけありました(惜しい!)。

ヤミ金に関しては、最盛期よりは減っているのですが、ここ数年は役所に寄せられた苦情件数自体それほど減ってはいません。手口もいろいろと変わってきているようですし、依然として撲滅に向けての対策は求められているところではあります。

 

かつての商工ファンド

商工ファンドという会社があり、事業者向け金融をやっていました。

私がこの会社の名前を知ったのは学部4回生の時で、ダイレクトメールで「会社の歩き方 商工ファンド編」という冊子が送られてきて、大島塾長自ら講義を行う研修制度「商工ファンド松下村塾」「商工ファンドMBA」なるものが存在するとか何とか聞いて、ずいぶんおかしな会社であると思った記憶があります。

その後、実際の状況を目の当たりにするようになるのですが、最初から支払に窮するような高金利で貸して主債務者を追い込み、そして保証人から回収することを目標とするというビジネスモデル(?)により高収益を上げるということでした。しかし、追い込みに耐えかねたり、保証人に迷惑をかけるのがつらいといって自殺する人もいましたから、こんな会社を高収益だの高株価だのともてはやしている連中は、地獄に落ちるような気がしていました。

そして「支払地:東京都中央区 支払場所:株式会社商工ファンド」という訳の分からん私製手形(いわゆる「おもちゃ手形」) を債務者に振り出させて、払えなかったらその手形を使って手形訴訟を乱発していたので、遂には、東京地裁がブチ切れて手形訴訟を拒絶したということもありました4

その後、同社はSFCGと社名を変えましたが、その結末はみなさんご存知のとおりかと思います。社長を題材にした「天馬行空(てんまそらをいく)」というPRマンガも作られてたりしてましたが、最終章で天馬は逝ってしまいました。それでも辛うじて塀の向こう側に落ちずには済んだようですが。

 

武富士とのバトル

また、変わったダンスを踊るCMで一世を風靡した武富士という消費者金融がありました。街頭で配られているティッシュをもらった記憶がある人も多いのではないでしょうか。

武富士も当会のクレサラ問題を一生懸命扱っていたある会員に対して種々の業務妨害を繰り返し、「○○弁護士被害者の会」みたいなものをでっち上げて懲戒請求をやってみたりであるとか、その弁護士の依頼者全件について訴訟提起して任意整理を困難にさせるとか、ずいぶんと悪辣なことをやっていたりもしたものです5

ただ、あまりに適当な訴訟の提起をしていたので、事情がよく分かってないまま法廷に許可代理を求めて出てきたヒラ従業員の若いお姉さんに裁判官が激怒していたのを見たことがあります。ちょっと気の毒でしたが、その時は裁判所って公正だなあ、と思いました。

 

感想

そんなことも過去の話となりました。

そうしてみると、今は、ずいぶん平穏になったなあとも思わなくはありません。過払いの事件も、破産の事件も、随分と昔に比べてみれば減ったものです。

貸金業法の改正は社会に劇的な変化をもたらしました。これは、大変な苦労をしながら消費者問題に取り組んできた弁護士たちの活動の大きな成果であると評価して良いと思います。弁護士が束になって本気で頑張ると世の中が変わることもある、ということをこの件では実感しています。

 

 



  1. 元のソースは金融庁ウェブサイト。http://www.fsa.go.jp/status/kasikin/20150930/06.pdf 

  2. 元のソースは株式会社日本信用情報機構ウェブサイト。http://www.jicc.co.jp/company/jicc-data/index.html 

  3. 例えば、平成12年に会社更生手続に入ったライフという信販会社があったが、少なくともこのころは更生手続の上でも過払金の存在には十分に配慮していなかったように思われる。 

  4. 裁判例として、東京地方裁判所平成15年11月17日判決(判例タイムズ1134号165頁、判例時報1839号83頁)がある。http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/612/005612_hanrei.pdf 

  5. 武富士からの種々の業務妨害の詳細については、こちらを参照されたい。