シンポジウム 憲法公布70周年のいま、考える「平和主義とは何か」

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平成28年6月3日、札幌弁護士会主催、道弁連・日弁連共催による、平和主義について考えるシンポジウムが札幌で開催されました。

関西大学の松元雅和准教授をお招きして、「平和主義とは何か?政治哲学で考える戦争と平和?」という題で講演をしていただいています。

 

講演の内容

非常に示唆に富むものでありました。以下、私が聞き取って理解した限りですので、誤りがあればすいませんが一端をご紹介します。

戦後日本の平和主義の特色としては、非宗教・非エリート・労働運動との協調、といった三つの潮流からなるという点にあり、草の根平和としての国民運動的な支持を受けてきたとの分析をされていました。

また、平和主義は、本来的には非暴力・非軍事力という手段によって定義されるものですが、昨今使われる積極的平和主義という言葉は、安全保障体制の強化や脅威の除去といった目標によって定義されるもので、その手段はあくまで軍事的・武力的なものではないか、との指摘がありました。

そして、平和主義を唱えることは現実的ではないのではないか、と問われることもある訳ですが、「平和主義は魂に関わる事柄。平和を守ることは容易ならざることだけれども、やらざるを得ない。」という奥平康弘先生の言葉を引いて、それには理想を示す役割はある、という指摘をされていました。

最後に、平和主義は所与のものではなく、絶えずその意義を問い続ける必要がある、といったこともおっしゃっていました。そのとおりかと思います。時の政治情勢次第で間欠的な憲法論争をする以前に、平和主義とは何かということの連続的な議論が必要ということではないか、と私は理解しました。

松元先生の考え方については、『平和主義とは何か』(中央公論新社、2013)という著作がありますので、興味を持たれた方は参照していただくと良いと思います。

 

感想

今回のシンポジウム、テーマは平和主義ということでしたから、通例ならば憲法学者を招くことも考えられたのかもしれません。

ただ、今回は、政治哲学の研究者にお越し頂いたということで、いつもと違う雰囲気に感じました。弁護士会主催のイベントも、こういう切り口でやるのは実に面白いという感想です。実定法の研究者だけではなく、たとえば法哲学者や政治学者などの他分野の研究者も招いて、多角的な視点で議論してみるのも良いことかもしれません。

ただ、若い先生方の姿がやや少ないような…まあ、若手は何かと忙しいのでやむを得ませんが、こういった機会も都会ならではのことなのでもったいないです。当会の憲法委員長なんか深夜バスで北見に帰るという意気込みで参加してました。

ちなみに、帯広は当日中に帰れるので私は汽車に乗って帰ったところ、鹿にぶつかって山奥で多少立ち往生しましたが、無事帰り着けました。