若手弁護士とは何か

近年、若手会員の意見を日弁連の運営に可能な限り反映しようとの発想によるものと思われるのですが、若手弁護士と執行部等との意見交換の機会が設けられることも多くなってきたように見受けられます1

ところで、若手弁護士という場合の「若手」というのはいかなる意味なのか、ということが議論になることがあります。

 

若手の定義

主観説…若手だと自ら考える者が若手であるとする立場(A説)
客観説…登録年数や実年齢等の客観的な基準にて判定する立場(B説)
折衷説…登録年数及び実年齢その他の事情を総合考量する立場(C説)

このうち、客観説(B説)は、その区切りとして登録年数(B1説)か実年齢(B2説)が考えられ、B1説の中にも3年説(B1’説)、5年説(B1”説)、10年説(B1”’説)、15年説(B1””説)2等の諸説ありえます。同様に、B2説についても切りのいいところで30歳説(B2’説)、35歳説(B2”説)、40歳説(B2”’説)等はありえます。

B1説については、既に他職経験があってどう見ても若手といえない貫禄の方もいるので単純に年数で区切ってよいかという疑問があり、また、B2説についても、弁護士登録者の属性は年齢と関連しないこともあるので3、いずれにしてもB説の基準が客観的であること自体には意味を見い出せません。折衷説(C説)にしても、その要素として登録年数や実年齢を考慮するならば同様の疑問はあります。

そこで、結局のところ、A説のように若手かどうかは自ら若手であると考えるかどうかを基準とする他はないものと解されます(主観説)4

 

自称若手弁護士の苦悩

さて、わたくし自身はどうでしょうか。

司法修習56期(2003年登録)ともなれば十分に経験を積んでいるじゃないかとか、もういい年なんだから無理をいうのはやめろとの意見も聞こえます。後者の意見について否定するつもりはないのですが、実感としてはまだまだ勉強が足りないことを痛感していますし、営業基盤も未だ盤石であるとはいえません。

特に、営業基盤ということについては、業界の先達からは「扶助と国選は弁護士の原点である」といったことを聞いていましたので、できるだけそのような活動もがんばろうと思ってそれほど疑問も持たずにやってきたのですが、そのような活動を通じて弁護士は社会に貢献しているといってみても、実際のところ直ちに顧客の獲得や収益の向上に結び付くということでもないようです。これまでは何とかなっていたにしても、例えていえば、原点付近をさまよい増加に転じぬグラフを描くままに年月が経ってしまった感もあります。

そうしたところ、先達の数々のアドバイスの中の一つには「夜の街に飲みに出て顔を広げろ」という極めて重要な点があったことをすっかり忘れていたことに気が付きました。その真意を考えてみると、何も文字どおり飲み歩きに行けというだけの意味ではなく、きちんと事務所経営を成り立たせるためには潜在的な顧客層に地道にアピールして弁護士業務を理解してもらったり知名度を向上させていく取り組みが不可欠である、ということなのだと思われました。ああ、これまで地元での活動を怠って何もやってなかったなあ、と思ってすごく反省しているところです。

そのような次第で、中堅などと称するにはなお足りないところが多過ぎるように思われたことから、わたくし自身は若手であると宣言して差し支えないものと考えるに至ったのでした。

以上、折角の機会でありますので、札幌での道弁連大会に併せて開催される若手弁護士カンファレンスには、わたくしも参加させていただくこととして「若手」としての希望を申し述べて参る所存です。どうか、若手に限らず、皆様のご理解をいただきますようお願い申し上げます。

 

 



  1. あるいは、意地悪な見方をすれば、数が多くなって統制が効かなくなった若手に対して執行部の方針をしっかりアピールする機会を積極的に設けるということかもしれないが、見方は様々かと思う。 

  2. 例えば、東京弁護士会の会員からなる法友全期会という「若手」の組織は登録後15年未満の会員を対象としているということであるから、B1””説に類する「若手」の定義を採用しているように思われる。 

  3. 例えば、B2”説においては、35歳の人は登録1年目でも登録10年目でもいずれも若手となるということになることがありうる。 

  4. もちろん、異論は認めるところである。