若手弁護士カンファレンスin札幌

道弁連大会の前日に開催された若手弁護士カンファレンスに参加してきました。

各地の弁連大会(近畿は2年に1度人権大会)の前日夕方の枠というのは、前夜懇親会というものが行われていたのが通例だったように思います。

若手と日弁連執行部が意見交換をする機会を設けることについては、従前も総本山で行われていたり、既に他の弁連大会に併せて行われたところもあるようですが、今回、道弁連では初めてこのような試みがなされたということになります。

会長ご挨拶

冒頭、会長からご挨拶があり、せっかくの機会ですので良く聞いてみることにしました。

既にロースクール出身者が弁護士の4割、10年以下の会員が5割を占めるようになり、若手の意見を聞くことが今後の日弁連の成り行きを左右する。法の支配を社会の隅々までという目標に向けてやっているが、弁護士業務は人数増に比例して増えていない。民事分野で利用しやすく頼りがいのある司法を実現することが大切だ。

というようなお話でした。

またか、またしても、法の支配を社会の隅々までという言葉が現れたか…と思ったのですが、現状認識としてはそういうことのようです。

議論のテーマ

事前にアンケートが配布されていて、テーマ設定の参考にしたいということで私も色々書いて送っていたのですが、当日示されたテーマとしては、

1.研修について
2.即独支援・若手支援について
3.非弁・業際問題について
4.日弁連と単位会、弁連の会務について

といったものが掲げられていました。このテーマのうち2つを6グループに分かれて議論するというスタイルでした。

議論の実際

指定されたテーブルに行ってみると、某副会長から「俺も心意気は若手なんだけどな!」とニコニコとご挨拶され、自称若手弁護士は一瞬たじろいでしまいました…。

うちのグループは非弁業際問題と会務についてがテーマとして割り振られましたので、とりあえず私から、非弁活動が弁護士の業務領域を浸食しているので業界の信頼確保のためにもどうにかならないか、という口火を切らせていただきました。

ちょうど最高裁の判決も出ましたが、民事分野での他士業の浸食ぶりは実際問題なかなかのものです。ただ、縄張り争いをして即効的な若手支援になるかという問題はあり、悩ましいところではあります。むしろ、他士業との適正な連携を図るという方向性の話も出ていたんですが、上部団体が監督しても末端が暴走している士業もいるし…みたいな問題もあって、うまくいくかどうかは分かりません。別の方向では、怪しい非弁に顧客が流れないように弁護士からも顧客へのアプローチの活動量を増やすということも大事ではないか、といった議論もありました。

もう一つは会務の問題なんですが、これは、若手はいいたいことがかなりあるような気がしました。もちろん、単位会の規模によっては若干温度差はあるところかもしれません。

例えば、同席の副会長の先生は、昔は会務を通じて信頼を得てそれが仕事を得るルートになる、というお話をされていました。

いや、これは、確かにある意味で理想的なあり方なんですが、この点はさすがに時代環境が変わってしまいました。広告が自由化されたりした関係で、独自に顧客を獲得するスタイルも強く普及していますから、そういう意味で会務を捉えてもなかなか会務への参加は増えないでしょうし、むしろ、自力で営業できる人は益々会務離れするでしょうね…等々、思ったことを申し上げていたところです。

あと、若手イソ弁だと、会務やってるヒマがあったら仕事をしろというボス弁のプレッシャーが著しいとの意見もありました。これも、今に始まった話ではないと思うのですが、事務所の経営環境が厳しくなってくれば当然そういう雰囲気はより強くなりますよね、というところのようには感じたのでした。

そんなことで、同席の若手の先生方はなかなか積極的な発言をしておられました。1時間半ほど時間が取られていましたが、以上2つのテーマでも意外に早く終わってしまったというところです。

参加しての感想

執行部、弁連理事、若手というメンバーで車座で議論するというスタイルだったのですが、自分のグループで扱った以外のテーマも結構重要なものですので、他のグループでの議論が分からなかったのが残念でした。とはいえ、こういう機会があること自体は悪いことではないのでしょう。執行部の施策のアピールの場に過ぎないのでは勿体ないことですので、若手からとりあえず積極的に色々主張してみるのが良いのだろうとは思います。

ただ、本当は、この場に出てこなかったかもしれない声なき声をいかにすくい上げることができるか、というのが今後の日弁連の成り行きを左右する大切なことのような気もしないではありません。

また、今回は、法曹養成の関係と法テラス関連の問題は特にテーマになっていませんでした。法曹養成についても実際にその過程を経てきた若手の意見を聞いてみるべきテーマかと思いますし、法テラス関連業務については意見のある若手も少なくないのではないかと思っていたところですので(但し、法テラス関連業務については、最初からこんなものだと若手は慣れてしまっていて、もう改善をあきらめてしまっているのではないかとの意見にも接するところではあります。)、このあたりは課題かと思いました1


  1. なお、即独支援・若手支援のテーマで議論したグループでは、もしかしたら法テラス関係の問題も話題になっていたのかもしれないが(事前のアンケートではその問題への要望は複数出ていた)、他のグループで議論していた内容については把握できなかったので、この点は定かではない。 

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