平成27年司法試験の結果について

前日に試験問題の漏洩が報道されて騒然としている中で、平成27年も司法試験の合格発表が行われました。昨年、「司法試験合格者数の決定要因」という記事を書いた際にグラフ化したデータが残っていましたので、今年の情報を付け加えて分析してみることにします(なお、データは法務省の公表した資料に依拠しました。)。

 

受験者数及び合格者数等について

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受験者数及び合格者数等については、このようなグラフになります。

受験者数は横這いながら、合格者数は少し増えています。既に、法曹養成制度改革推進会議が、司法試験合格者数を「年間1500人程度」にするという現状より少なめの数字を示しての意見を出していたことも踏まえると、若干ながら合格者数が増えたのは意外でした。

また、今年は、論文試験の最低ライン点に満たなかった人の人数は、昨年よりも大きく減少しました。

 

合格率等について

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合格率等に関するグラフはこのようになります。

今年は、受験者数に対する合格者数の割合は、若干ですが昨年よりも増えました。一方で、総合評価対象者数に対する合格者数の割合は、大きく減少しました。

 

結果の分析

今年は、昨年に比べると、短答式試験の合格に必要な成績を得た者の数が増え(5080人→5308人)、総合評価対象者数も増え(4396人→4948人)、また、最終合格者も若干ながら増えました(1810人→1850人)。

私は、昨年、足切りにあった人数の増加や合格者数の減少を捉えて、司法試験受験者層の学力は平均的に低下し続けている恐れは否定できないという意見を持ったのですが、今年の数字の推移を見ると昨年までとはやや様相が異なります。今年の受験生は全体的に比較的出来が良かったのか、あるいは、採点基準を甘くしているという可能性もあるのかもしれませんが、結果的に合格者数を減らさなかったことからは、司法試験委員会は受験者層の学力が低下していないと見ているのかもしれません。

また、総合評価対象者数に対する合格者の割合は過去最低となりました。その意味では、今年の試験は難関でした。今年通った人にとっては価値ある合格だったと思います。

 

合格者平均年齢の増加

ところで、今年の試験結果について特筆すべき変化としては、上記の各グラフに反映してはいませんが、合格者の平均年齢が昨年よりも大きく増加したことがあります(28.2歳→29.1歳)。

もしかしたら法科大学院への入学年齢が年々上がっている可能性もあるのかもしれませんが、元々社会人には参入しにくいことも踏まえると、その原因としては、受験制限の緩和(5年以内3回→5年以内回数制限なし)による諸影響があるように思います。実際、受験1回目の合格者数が昨年よりも減少した一方で(1059人→920人)、4回目の受験者が158人合格していますので、平均年齢を押し上げる要因の一つにはなった可能性があります。

 

まとめ

旧司法試験で合格枠制が導入される前の合格者の平均年齢は平成元年度の28.91歳が最高でしたが、今年はこれを上回っています。そうなると、受験期間の制限は、受験生の滞留を回避して本人に早期の転進を促すという政策目的との関連性が既に乏しくなっているようにも思われ、職業選択の自由との関係で問題が生ずるのではないでしょうか。この点は、来年以降また議論になるかもしれません。

全体的に考えると、合格率は約23%ですから4人に3人が落ちる訳で、依然として司法試験は難しい試験ではあるでしょう。しかし、一方で、合格者1850人のおよそ半分にあたる920人が1回目の受験で合格しています。そのような意味では、平均的に、旧司法試験の時代よりも若く、あるいは早く法律家になる道は開けるようになってはいます。

法律家の世界を取り巻く環境は厳しさを増す一方ではありますが、今年合格された方へは今後その能力をより発揮することができるように祈ると共に、今年はだめだった方へは今後の奮起を期待したいと思います。