高裁支部の適正配置

image136日本国内には8つの高等裁判所(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・高松・広島・福岡)があり、左の色分けのとおりの地理的な管轄を有しています。

但し、高裁には支部を設置しているところがあり(仙台高裁秋田支部・名古屋高裁金沢支部・広島高裁岡山支部・広島高裁松江支部・福岡高裁宮崎支部・福岡高裁那覇支部)、その場合、高裁支部が管轄する地域が生ずることになります。

 

ところで、高裁支部の管轄する領域の境界には、県境と必ずしも一致していないケースがあります。その地域に住んでなければ役に立たない情報であるような気もしますが、具体例を見ておくことにしたいと思います。

 

 

仙台高等裁判所秋田支部

秋田県だけではなく、大雑把にいえば「東北地方の日本海側」を管轄しています。

具体的には、青森県の五所川原と弘前、山形県の酒田と鶴岡はこの支部の管轄になります。津軽地方から仙台は遠すぎるし、庄内地方から仙台は冬場に行きづらいでしょうから、秋田支部の存在には意義があると思います。

但し、酒田から秋田への特急は1日3本、弘前から秋田への特急は1日5本なので、電車の本数が少なくてこの地域の訴訟当事者は移動に苦労するかもしれません。

 

福岡高等裁判所宮崎支部

宮崎県及び鹿児島県の全域と、大分県の佐伯市を管轄しています。

image137左は大分県の地図ですが、一番南に位置する佐伯市(緑色の部分)は宮崎県との県境に位置しているとはいえ、大分県内で唯一仲間はずれになっています。

確かに、福岡に行くよりは宮崎の方が近いかもしれませんが、必ずしも大分と宮崎の県境を跨る交通網は整備されているとは言い難い雰囲気です。

ところで、宮崎支部が鹿児島県の全域を管轄するのには相当無理があります。

この点は実際に鹿児島県弁護士会が意見を出してどうにかしろといっているようですが、奄美群島の人は大変です。鹿児島空港に飛行機で飛んで、そこから宮崎までバスなどで行くということになるのでしょうが、日帰りはほぼ不可能かと思われます。

 

また、九州新幹線ができたので、今や鹿児島本土の人も、宮崎に行くよりは福岡に行った方が便利になっているという事情の変化があります。そうなると、「鹿児島県は福岡高裁本庁の管轄にしてもよい。」という意見が出てもおかしくはない情勢でしょう。

 

裁判所の充実は地方住民の願い

だからといって、福岡高裁宮崎支部をなくすわけにはいきません。九州内でも宮崎県は屈指の不便さを誇るからです。

元々、宮崎の高裁支部は、鹿児島との競争になったものの、宮崎の方が不便だからということで設置されたという経緯がありました。

ということで、むしろ高裁支部を増やすとか巡回裁判所を設けるなどにより、第二審を充実させて裁判を受ける権利の保障を十全にすべし、そのためには裁判官の増員が必要、よって司法予算を増やすべきである、といった方向での運動が必要になってくるのではないかと思います。

 

北海道の場合

札幌高裁は、今は、支部を設置していません。「今は」というのは、かつて函館に札幌高等裁判所函館支部があったからです。

既に40年以上前に函館支部は廃止されましたが、その際に函館弁護士会は猛反対したのでした。歴史的に見ても道内の控訴裁判所の起源は函館にあり、札幌には後で移転したに過ぎないのですから、当然の反応でしょう。ところが、札幌弁護士会は反対しなかったので、函館弁護士会が道弁連から脱退しようとする騒動があったようです。

北海道は余りに広大ですから、1個くらいは高裁支部を復活させても良いのかもしれません。もっとも、今は道内4会仲良くやっているとはいえ、どこに作るかとなればモメるかもしれませんが…。