法律扶助と弁護士数の相関関係

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これは、平成25年(2013年)度までの、法テラスによる代理援助受任件数のグラフです(出典は法テラスのプレスリリース)。これを見ると、合計件数は2009年あたりから概ね横這いとなっています。但し、その内訳としては、多重債務事件は減少し、家事事件が増えている傾向にあります。

 

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次は、これまでの弁護士数のグラフです(出典は日弁連の資料)。

要するに弁護士数は急速な右肩上がりです。平成19年(2007年)の弁護士数は、正確には23,119人です。これが平成25年(2013年)には33,624人になっていますから、この6年間だけでも弁護士は1万人以上、割合にして約45%増加しているという驚愕の事実が存在しています。

詳しい数字はこちらです。

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ちょっと分析してみることにします。

法テラスの代理援助事件の件数は、平成22年(2010年)度の110,217件をピークとしています。もっとも、平成21年(2009年)度以降は増えたり減ったりの状況ですから、全体としては平成21年(2009年)度から年間およそ105,000件前後で横這いと見てよいと思います。

一方、弁護士数は右肩上がりといいましたが、特に2007年以降の3年間は毎年平均約1900人ずつ増え、最も弁護士数の増加量が多い時期でした。すなわち、この時期においては独立等で新規参入した弁護士にとって代理援助事件が収入源となっていた可能性があり、故に代理援助件数も順調に増えていったのではないかと思います。

もっとも、それ以降の代理援助件数が横這いなのは、過払いバブルに乗って多重債務事件が刈り尽くされた一方で、それによって生じた余力により、家事事件の受任へシフトしていった結果かと思います。

 

問題は、離婚や相続といった家事事件の処理は定型的な処理ができず時間が掛かるために、非常に処理コストが高いことです。そうすると、イソ弁を雇って代理援助事件に当たらせていた経営弁護士層は、事務所事件を優先させるためイソ弁の受任を抑制する方向に走る可能性がありますし、平成19年度以降に新規参入した層も、法テラス以外のチャンネルからの受任も徐々に増やして経営を安定化させて行く過程で、代理援助事件がやりづらくなる事象が発生する可能性があると思います。

もちろん、経費を極限まで削る宅弁スタイルで代理援助事件を積極的に受ける方策もありますが、それではじり貧ですから、そのような層が撤退すれば(弁護士廃業という意味ではなく、代理援助事件をやめて別分野にマーケティングを図るとか色々あり得る)、益々代理援助事件の受け手は減ることになります。

 

いずれにしても、法の支配を社会の隅々まで及ぼすというような理念は良いとしても、その手段として弁護士を増やせば増やすほど、結果的には代理援助事件のような不採算事件は見向きもされなくなるという、誠に残念な帰結を迎えざるを得なくなると予想しています。

 

なお、最後に、弁護士数の動向に関連して気になるデータを示します(出典は法務省の資料)。

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弁護士の絶対数は増えていますが、司法修習後に弁護士登録しない人が激増しています(下のグラフ「その他」の人数)。学者になる等の積極的な理由で登録しないことは以前もありましたが、近年の未登録の主な理由は、弁護士としての就職先がないか独立の見通しが立たないことを意味するように思われます。

つまり、弁護士登録をすること自体が合理的ではなくなっている層が既に年間500人以上量産されているのが法曹養成システムの現況であり、これも本当に由々しき事態であると思います。