日弁連代議員会

今期は日弁連の代議員に選任されましたので、代議員会に出席してきました。

ところで、日弁連の代議員会って何やるの?と思って検索してみると、「代議員に選任されました」「代議員会に出席しました」みたいなのがいくつか出てくる程度で、ネット上の情報は多くありません。

つまり、日弁連代議員に選任されたとしても、それ以上書き記すようなこともなく終わってしまうということでもあります。1

具体的にいえば、多くの代議員は委任状にハンコを押せば1年間通じてのお仕事は終わってしまいます。それで済まない場合も、年1回の代議員会の日に霞ヶ関の弁護士会館へ行くことは要しますが、それにしたって1時間くらい座っていればお仕事は終わってしまうというのが、ほとんどの場合かと思います。

そこで、今回は、この件について触れてみたいと思います。

 

代議員会って何?

代議員会は、日弁連の「役員」を選任する役割を持っています(会則42条2項)。ここでいう「役員」は、副会長・理事・監事のことです(役員選任規程1条)。

代議員会にはその他にもいくつかの権限がありますが、基本的には、重要な役員人事を決める機関という位置付けです。

なお、会長も役員ではないのか?という疑問もあるところですが、ご承知のとおり、会長に関しては、2年に一度直接選挙を行って選任します。

もともと、代議員会では日弁連の会長も選任していました。しかし、会長を直接選挙することになったため、それ以外の権限が残ったまま現在に至るということになります。2

そうしてみると、日弁連は、会長は直接選挙で決める一方、その他の役員は間接選挙で決めるという仕組みの組織だということになっており、その外形だけ見れば相当変態的です。これが組織論的にどうなのかは別途検討に値しますが、その点はさて置き、とりあえずそういうことになっています。

 

代議員会の議事と慣行

せっかく代議員に選ばれましたので、代議員会ではどのような進行がなされているのだろうかと思い議事録を読むと、毎年1時間前後で終了していることが分かります。

えらいシャンシャンと終わってるなあと思って議事を読んでいると「選挙によらない方法による選任を求める動議」というのが出て、それが承認されて役員が選任されるという流れで決着が付いています。

これはどういうことでしょうか。

役員は代議員会における選挙で決めることになっています(役員選任規程4条1項)。本来は選挙をするようです。

ただ、そんな選挙してるの聞いたことないと一瞬思うわけです。例外として、出席代議員の3分の2以上の同意があれば、選挙によらない方法で役員を選任することができるとされているため(同5条1項)、事実上そのような動議が仕込まれており、そのとおり可決されます。

その結果、各地の弁護士会連合会が事前に推薦している役員が、事前に配布された一覧表のとおり選任されるということになります。

以上のような慣行になっています。

ガチンコで選挙をしても、その場にいる代議員には役員候補の適格性を判断する情報がほとんどありません。無用な紛糾が生じる場合もないわけではないでしょう。慣行の理由はそういうことなのだと思います。

なお、このような慣行が存在することで、「弁護士会連合会って何をやってんの?」という問いに対する答えの一つが出てきます。「日弁連の理事会を構成する役員を事実上選任して送り込む機能がある。」ということになります。

 

出席して質問する

そういうことで事前に多少の予習をして、代議員会に出席しに行ってきました。

コロナ騒動で、会場のクレオも多くの人がマスク姿で、消毒薬も備え付けられており、すっかり厳戒態勢です。

代議員会で例の「選挙によらない動議」を出す人以外が発言した例がどれだけあるか分かりませんが、議事規程上は、出席した代議員は自由に質疑を行うことができます(議事規程32条1項)。

代議員に選任されていれば平会員でも会長に質問ができるのですから、これは実に重要な権利です。

今回は、出席者も執行部も議事を急ぎたいのだろうとは思ったので、一応、事前に「男女共同参画推進特別措置実施のための副会長候補者(いわゆる男女共同参画枠)の選考はどういう基準でやっているのか?」 という質問をする予定があることを、代議員会の事務を扱う企画課の担当者にお伝えしておきました。

そうしたところ、担当副会長から、「選考では副会長として力を入れる分野を聞いたり、副会長としてどういうことに取り組みたいか3分でアピールしてもらうなどの口頭試問を行い、選考委員それぞれの判断で副会長にふさわしいかどうかを見ている。」との説明をいただくことができました。

ただ、担当副会長のご説明では少し足りないと思い、その場で、「第一次推薦の母体が弁連の場合と有志会員を集める場合で選考の可能性に違いがあるか。近年は2名以上の第一次推薦の候補者が出ており実質的な選考が必要であるが、会長が推薦委員長として関与する点は他の副会長候補者とは異なるため、会長よりご説明願いたい。」との質問をしました。

これに対しては、会長より、「会長は推薦委員会の委員長ですが、議決権を行使しない慣例です。また、推薦母体が違うということで選考の可能性には差はありません。」という趣旨のご回答をいただきました。

 

これらの点についてご説明をいただけたことは良かったと思っています。

男女共同参画枠の導入に当たっては、手を挙げる女性会員を確保できるのかという懸念もあったようで、複線的に推薦方法が設けられています。具体的には、第一次推薦として、50人以上の会員の推薦による場合のほか、弁護士会連合会や弁護士会が推薦を行う場合があります。

私が知る限り、200人以上の会員から推薦されて選考に参加したが選に漏れた、という人がいます。このような制度の活用により、意欲のある女性会員が多数の推薦者を得て選考に参加し、女性の役員就任率が向上する気運が高まることにつながれば好ましいことです。そうすると、選考手続がブラックボックスに見えることで意欲を削いでしまっても良くないので、会長に選考手続についてご説明をいただくことにも一応の意味はあると思い、質問してみた次第でした。

自由に質疑ができるわけですから、代議員会に出席できる代議員の人は、役員人事に疑問があれば思い切り良くあれこれと聞いてみたらいいんじゃないかと思います。もちろん、代議員の選任のやり方は各弁護士会によって異なるため、なろうと思ってなれるわけではないということはあるのですが。

 

他は特段の質疑もなく、代議員会自体は1時間15分程度で終了しました。

しかし、コロナ騒動の影響は著しく、当初予約していた飛行機は行きも帰りも飛ばなかったですし、時間を余したところで人の集まる劇場や美術館の類はどこもかしこもお休みなものですから、行くあてもなく日比谷公園でしばらく草花を眺めて過ごしておりました。

 

最後に

ところで、今回の代議員会では、無事に私も選挙によらない方法により日弁連理事に選任されております。

理事会に出席して発言できる機会を得たのは貴重なことです。そのようなところに行ってこいと強力に背中を押していただいた当会の多くの先生方には、とても感謝しています。

これまで、司法制度改革の名の下に様々な取り組みがなされましたが、何かを変えようと精一杯になり過ぎたからでしょうか、省みることが十分になされてきたようには見えません。しかし、そろそろ良い潮時でしょう。この司法制度改革の20年を総括し、次の時代の司法の在り方を問うことが自分に課された使命と思い、日々精進して参りたいと存じます。

そういうことで、理事会にて得られた一議席は、皆様のお知恵を借りながら有効に活用したいと考えていますので、引き続きご指導を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 



  1. 坂野真一先生が代議員会について書き記している「日弁連代議員会はこんな感じ~1」以下が、数少ない例外かと思います。 

  2. 山中理司先生による「日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等」という記事に経緯が詳しく書かれています。