打ち破れない超閉塞感!

今年も2年に一度の日弁連会長選挙が迫ってきました。

例年、釧路の会では9月になると阿寒にて観楓会を行いますが、だいたいその選挙の年ということになると、怪しい名称の任意団体を名乗った偉い人がこの予定に合わせていらっしゃって、今後の日弁連の在り方についての説明をしてくださいます1

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このとおり、秋の阿寒湖は、事件がどうだとか選挙がどうだとかといった弁護士界の喧噪を離れて、大自然が広がり大変美しいものです。それで、会員の中にはゆっくり温泉にも入ってられないからアレはもうやめろ、という人もいます。

ですが、折角来ていただいたのであればそのような立派な方の見識には触れてみなければならないということで、一応ご説明を伺いに行ってみます。

希望と活力にあふれる司法を創る会

大阪から中本和洋先生が阿寒まで来られて色々と説明をなさっておりました。

ということで、質問してみました。

法制審議会に宮崎先生とか小坂井先生とか立派な先生方が入ってたのにどうして司法取引なんて導入されそうなんですか。どうにかならんもんなんでしょうか。

そうしたところ、

この機を逃すと可視化は実現できません。

と、少々むっとした感じでお答えが返ってきたのでした。

その後、当職は、「あの、中本先生の隣に森下先生いらしたのによくあんな質問をぶっ込みますね…」と当地の会員にたしなめられました。

政策要綱みたいなもの2が書かれた冊子をもらいましたが、相変わらず総花的なものだなあ、との感想を有していたところです。

飛び交う怪情報

ところが、選挙が近くなって、怪情報が飛び交うようになりました。

どうも中本候補は稲田朋美代議士に献金しているらしい。

この事実自体は、官報や政治資金収支報告書に記載があって公開されているので、間違いではないです。この献金先は極めてインパクトがあります。

さらに、

中本候補は稲田朋美代議士を支持しているくらいだから、日本会議にもコネクションがあって、改憲派を支持しているようだ。いよいよ日弁連も乗っ取られる。

という、更なる真偽不明の怪情報が飛び交う事態となったのでした。

さすがに、これは飛躍し過ぎの感があります。

まあ、この点については、大阪の元会長(日弁連会長選挙をめぐる不穏情報)や、ご本人も(日弁連次期会長候補に自民稲田議員「支持」の怪情報)、否定はしておられるようです。

但し、中本候補は、憲法への緊急事態条項の導入には反対していない、というかその問題点を良く理解されていないのではないか、というような報には接しました。基本的なところですので、ご本人が良く理解された上で説明されるべきでしょう。

そして、献金先があの代議士だ、という事実は動きませんので、おそらく弁護士界隈にはその一事を以て中本候補を嫌悪する人はかなり居るでしょう。誤解を解きたいのであれば、支持者の一人として稲田代議士に対し「あんたの考えおかしいよ。」と言ってもらうしかありません。

対立候補の問題点

さて、今回は、対立候補が出ています。高山俊吉先生ですがもう何度目でしょうか。前回は謀略ではないかと思えるような懲戒処分に引っかかり出馬できなかったような記憶があります。

高山候補の個別の政策を見ると、当職の考えには重なるところはあります。

しかし、基本的な姿勢が余りに急進的すぎて当職にはついて行けません。今に始まった話じゃないんですが。

結局、高山候補が当選したとしても、日弁連を変えることは出来ないでしょう。田舎者ですがおぼろげながら見えてくる日弁連の組織の運営の仕方からすると、おそらく、会長のリーダーシップというよりも、十何人かいる副会長の考え方がまとまらないと動かせませんし、また、嘱託の方の活動が政策形成に一定の役割を果たしているように思います。そうすると、これらの人たちを送り出す母体(地区弁連と単位会とその中の派閥)を押さえられないと何も出来ない、ということになるでしょう。高山候補の政策は急進的すぎて、それらの多数の支持を得られないだろうと思うのです。

超閉塞感の壁

ということで、誰が会長になっても、多分何も変わることはないと予測しています。中本候補にはその意欲がなく、高山候補にはその能力がないからです。

我々一般の会員の前にそびえ立つのは、打ち破れない超閉塞感の壁です。

もちろん、個人的には、投票はすると思いますが、誠に残念な状況であると思います。そんなことに関心を有するよりは、目の前の仕事を片付けろ、そして仕事を取ってこい、という方が合理的だと思われて無関心を招いても、もう仕方がない状況でしょう。繰り返しますが、誠に残念な、冬の冷たい選挙です3


  1. 会長選挙規程58条1号により事前活動は禁止されているから、これは、断じて、日弁連の会長に立候補しようとする人やそれを支援する団体が来ている訳ではないはずである。 

  2. 会長選挙規程58条1号により事前活動は禁止されているから、これは、断じて、政策要綱ではなく「政策要綱みたいなもの」であると思われる。 

  3. なお、本稿は、特定の候補者の当選を目的とするものではないことが全体の論旨から明らかであるから、会長選挙規程58条各号により規制される選挙運動にはあたらないものと考える。 

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