平成28年司法試験の結果について

今年も司法試験の合格発表の時期を迎えました。

例によって、前年までにグラフ化していたものに今年のデータを付け加えてみます(データは法務省の公表した資料によっています。)。

受験者数及び合格者数等について

今年は、昨年に比べて受験者数が大幅に減少しています(8016人→6899人、13.9%減)。

そして、新司法試験開始初年の平成18年を除けば、合格者数も最低となり、遂に合格者1500人台ということになってしまいました(1583人)。

合格率等について

受験者数に対する合格者数の割合は、過去2番目に低い割合ということになりました(22.95%)。

法科大学院ができたころは7?8割程度の合格率!と言われていたような気がしますが、現時点では4.36人に1人合格する程度ということになります。割合だけ見ればなかなかのギャンブルです。

また、総合評価対象者数に対する合格者数の割合は、過去最低となりました(35.89%)。

総合評価対象者数が少なくなればこの割合は高くなっても良いはずですが(総合評価対象者数は過去2番目に少ない4411人)、そうなっていません。

検討

以上、ひとまず今年のデータを入れて推移をグラフ化してみました。

注目すべき指標は次のようなところにあるかと思います。

  • 受験者が減少(前年比13.9%減)
  • 合格者も減少(前年比14.4%減)
  • 受験者平均点と合格点最低点は共に上昇
  • 合格率はここ3年横這い

今年は合格者が1500人台になるという大きな変化が生じていますが、こうしてみると、その要因は結局受験者数が減ったということに尽きると思われます。極めて月並みな分析に過ぎませんが…。

先に述べたとおり、新司法試験制度導入時の合格率の目標は7?8割といわれていましたが、この数字は一度も達成できないまま、結局、近年の合格率は概ね20%台前半のあたりで低迷しています。そのようなことになった原因が、一部の司法改革反対派の弁護士が増員にうるさいからなのか、それ以上の割合では合格させられるレベルに受験者が達していないということなのか、よく分かりません。

ただ、法科大学院入学者数の動向からすると、今後は司法試験受験者数の増加は見込めない状況ですから、司法試験合格者数がこれ以上増えそうな雰囲気は感じられません。

このような状況に対して言いたいことは尽きないので無理矢理まとめますが、一言で言えば、色々と複雑な思いであるという他ありません。

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